前回の続きから。
赤粘土で造られた美しい村アブヤーネを去り、カーシャーンの街に帰ってきました。
現在地がここ↓
現在地がここ↓
タクシードライバーのおっちゃんに(渋々)高額運賃を払い
さーて♪今日はこの街で1泊するかなーなんて呑気に考え、
何気なく財布を開いたら
残金が1万円しかないことに気付きました。
………あれ?( ゚ ▽ ゚ ;)
ゴシゴシ(`・ω・´) ←見る
ゴシゴシッ!(`・ω・´;) ←もう一度見る
ゴシゴシッッ!!(´Д`;) ←見間違いだと信じたい
……え…………ちょ、…え?( ゚ ▽ ゚ ;)
こここここれは………
ひょっとするとヤバイやつでは?
こんなに減ってたっけ?
60話でもお話しましたが、イランはクレジットカードが全く使えない国。
ワタシが持っているVISAの国際キャッシュカードも使えません。
お金を引き出すことが出来ないのです。
だからわざわざ現金でドルを持ちこんだと言うのに…
それが残り僅かと言うことは…
えーと、つまり?
残金1万円を使い果たすとイランから出れません。
なにーーーー!?(((( ;°Д°))))
ここからが辛い時間の始まりでした。
この街で一泊するだなんて考えは瞬時に消え失せ、そのまま長距離バスターミナルに直行。
ワタシが目指すのはアルメニアとの国境近くの都市タブリーズです。
ゆ「すいません!タブリーズ行きのチケット下さい(°д°;)一番安いヤツで!」
「はぁ?タブリーズ行きなんて無いよ」
( ̄□ ̄;)!!………え?
どうやら直行は無いらしく、首都テヘランまでしか行かないらしい。
ゆ「じ、じゃあそれで良いから頂戴!」
係員「はいよ。15万リアルね。(=650円)」
チャリーン。
行きのバスの中、ワタシは昼寝も読書もせず
頭の中で次の国やこれからの行き先を考え始めました。 ←もっと早く考えろ
とりあえず、次はアルメニアに行こう。
世界で最初にキリスト教を国教とした歴史のある国だし、
土地柄的にワインが安くてウマイらしい。
ここは行きたい!(`・ω・´)
問題はお金が残り9000円ちょいだということ。
タブリーズまで行けたとしてそこで一泊できる余裕あるか?いや待て、タブリーズから国境越えるまでのバス代だっていくらかかるか分からんぞ。あ!そうだアルメニアに入るビザ代だってかかるんだ。大体この国は公衆トイレだっていちいち有料だし、ここは出来るだけお金を温存するべきだな。うんうん。
なんとなく、次の行き先は決まりました。
こうしてバスは夜の6時にテヘランのバスターミナルに到着。
急いでチケットカウンターへ向かいます。
お金に余裕がないと、何故か心まで余裕がなくなり、
早く着きたい!
早く国境に近づきたい!
と焦る気持ちになってしまいますね。
ゆ「すいません!タブリーズ行きのチケット下さい!(°д°;)一番安いヤツで!」
「はぁ?タブリーズ行きなんて無いよ」 ←本日2度目
(((( ;°Д°))))えー?
係員「ここは南バスターミナル。タブリーズ行きのバスがあるのは西バスターミナルだよ」
なんですとぉぉぉーーっ!?
すかさず群がってきたタクシードライバー達。
「俺が連れてってやる。10ドル(1200円)だ。さぁ乗れ。」
高いっての!(´Д`;)
ば、バスは?市内バスとかあるだろ?
すいませーん!バスで西ターミナルってどうやって行ったら良いですかー?
係員「メトロで行けば?」
おお!地下鉄があったのか。分かりました(・∀・)
すぐにメトロのホームへ向かいます。
これでかなり安く西バスターミナルまで行けるはず………
………………ん?
………………西バスターミナルって………
………どこで降りるの?( ゚ ▽ ゚ ;)
1時間後
色んな人に助けてもらい乗り換えもこなし、なんとか西バスターミナルに着くことが出来ました。
時刻は夜の8時半
今度こそはという想いを胸にチケットカウンターへ直行。
ゆ「すいません!タブリーズ行きのチケット下さい!(°д°;)一番安いヤツで」
「タブリーズ行きは無いよ。」←もはや今日これしか聞いてない
(((( ;°Д°))))えーっ!
係員「今は年末だし、チケット取りづらいんだ。あ、でも明日の早朝7時ならあるよ。」
ゆ「あ、じゃぁ、それ…下さい(´・ω・`)」
係員「はいよ。40万リアル(1700円)ね」
チャリーン。
なんとかとりあえず先に進める……が!
出発まで、あと11時間弱。
問答無用でバスターミナルで寝ます。
残金、残り約7500円
この先、どれだけ出費があるか分からないので夜ご飯は水とポテチで味気なく済ませる(15000リアル)
チャリーン。
…ポリポリ(´・ω・`)
…温かいご飯が食べたいなぁ。
というか、なぜこうなった? ←無計画だから
人気が無くなり、静かになった夜中のバスターミナル。
寝袋などは持ってないので、上着を掛け、硬く冷たいベンチに横たわり、そのまま就寝。
なかなか寝付けない。
当然です。
不安で、
空腹で、
寝心地が悪いからです。
それでもなんとか寝ようとして数十分。
何者かが頭を撫でるように触ってきました。
むくっと起き上がると、20歳くらいのイラン人の男の子達が3人、
ワタシの真横の席に座ってこちらを見ています。
実はその青年たちはつい1時間ほど前にも同じように寝ているワタシの隣の席に座ってきて、
気持ち悪い手つきでワタシの頭や顔を触り、何やら話しかけてきたのです。
何を言っているのか分からないし、関わりたくないので相手にせず、今のこの席まで移動してきたのですが
空席だらけのこの空間で何故ここにまた座る?と不思議に思っていると
3人の内の1人が静かな声でこう囁いてきました。
「チン チャン チョン」と。
《ちんちゃんちょん》
アジア人、特に東アジア人をからかう時に使われる完全なる差別用語。
中国人を対象に使用されることが多いが、日本人や韓国人にも使用され、単にひやかしたり、バカにしたい時に使う言葉。
エスファハーンで会ったさやかさんがこんなことを言っていました。
イラン人はアジア人を本当にバカにしている。
道ですれ違う度に若者からニヤニヤ顔で事あるごとにこれを言われた。しかも必ず1人じゃなく仲間が数人いる時にしか言ってこない卑怯さがある。と
実はワタシ自身も何度もこれを言われていたのです。
最初は気にしていませんでした。
意味も良く分かっていなかったし、
聞き流せるレベルとして捉えていました。
所詮は二十歳そこそこの若者のいきがりだと。
きっとイスラム教の戒律でストレスが溜まっているんだろう。
酒は飲めないし、娯楽も少ない。守らなきゃいけない掟がたくさんあるんだろう。
結婚するまで女性に触れるどころか、会話もろくに出来ないし、同じ部屋にもいられない。
きっと色々大変なんでしょう。
発散することが難しいんでしょう。
そう思っていました。
しかし、さやかさんの話を聞いた後から気になり始め、
その後もすれ違い様に事あるごとに言われるのが段々頭に来るようになりました。
こちらが何かしたかい?
小声で一瞬でニヤニヤと言う必要があるのかい?
なんて卑劣なんだろうね。
普段は街中でもニコニコと歩いているワタシでも
次第に真顔で歩くようになりました。
ちゃんとした大人達はそんなことは無く、優しいのですが
若者達には本当にイラつきます。
ワタシはすっと立ち上がりました。
起きてみるとやっぱり体が痛いです。
今日は本当に疲れました。
行く先々でチケットを断られ、
携帯の充電や現金の残りに常に気を張り、
ひもじい思いをしながら硬いベッドで横たわる。そして。
そんなワタシをわざわざ起こしてそれを言ってくる小僧共。
ワタシは彼等を睨み付け、再度席を移動しようと荷物をまとめ、去り際にいっそ優しくこう囁いてあげました。
この糞童貞野郎共が。 ←日本語
ワタシが何を言ったのか、彼等に理解出来る日は来ないでしょう。
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